ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE

モノマテリアル化を実現する、ポリエチレン基材フィルム向けグレード

モノマテリアル化を実現する、ポリエチレン基材フィルム向けグレード

二軸延伸ポリエチレンフィルムは、一般的なポリエチレンフィルムと比較して優れた物性を有し、基材に適した新しいフィルムです。従来の多層構成の包装材をモノマテリアル化し、リサイクルしやすい環境配慮型のサステナブル包装材を提供します。

モノマテリアルとは

一般的に包装材は、バリア性や剛性など複数の機能を付与するために、異なる素材を組み合わせた多層構成となっています。しかし、複数の素材を貼り合わせているため分離が困難で、リサイクルが著しく難しいという課題があります。
モノマテリアルとは、包装材をすべて同一素材で構成することを指し、使用後の分別が不要でリサイクルしやすく、環境負荷の低減につながります。
モノマテリアル化により資源循環を促進し、廃棄物の削減やCO2排出の抑制など、環境負荷の低減に大きく貢献します。さらに、国内外で高まる環境配慮設計への対応にも有効であり、今後のサステナブルパッケージ開発における中核技術として期待されています。

ポリエチレンモノマテリアル包装材

ポリエチレン(PE)フィルムは、一般的にシーラントフィルムとして使用されており、基材には二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)フィルム、二軸延伸ナイロン(ONY)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムが用いられています。
基材には機械的強度や剛性が求められるため、通常のPEフィルムは基材用途に適していません。そのため、モノマテリアル化を実現するには、基材として使用可能なPEフィルムの開発が求められてきました。

二軸延伸ポリエチレンフィルム

二軸延伸ポリエチレン(BOPE)フィルムは、PE樹脂を縦方向(MD)および横方向(TD)の両方向に延伸したフィルムです。延伸加工により、透明性、光沢性、剛性、耐熱性、ガスバリア性などの物性が向上します。
BOPEはOPETやONY、OPPなどの代替素材として活用でき、パッケージ全体をPE単一素材で構成することで、モノマテリアル化を実現可能にします。

一軸延伸と二軸延伸の違い

PEの延伸には種類があり、MDのみを延伸する一軸延伸ポリエチレン(MDOPE)フィルムとMDおよびTDの両方向に延伸するBOPEフィルムがあります。
MDOPEフィルムでは、一般的なPEフィルムと比較して、透明性、光沢性、剛性、耐熱性が向上し、TDには裂けにくくなります。しかし、MDには裂けやすく、物性バランスが不均衡となり、強度が低下する傾向があります。一方、二軸延伸ではMDとTDの物性バランスが良好で、フィルムの強度を高めることが可能です。

ポリエチレンの二軸延伸加工の技術的課題

ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)、ポリプロピレン(PP)では、二軸延伸が一般的に行われています。一方、PE、特に高密度ポリエチレン(HDPE)においては、これまで二軸延伸が困難とされてきました。
その主な理由は、PE自体の延伸適性の低さにあります。PEはPETやNY、PPと比べ結晶化速度が速く、延伸中に破断しやすいため、加工が難しいのです。特にMD延伸の後にTD延伸を行おうとすると、フィルムが縦方向に裂けてしまい、フィルムの成膜ができないという問題が発生します。
このため、PEフィルムを安定して二軸延伸するには、繊細かつ高度な樹脂設計が不可欠です。

モノマテリアル包材向け二軸延伸用高密度ポリエチレンの開発

日本ポリエチレンは、独自の樹脂設計により、HDPEの逐次二軸延伸が可能な新グレードの開発に成功しました。これまで困難とされてきたPEの二軸延伸を安定的に実現し、優れた物性と高い透明性を兼ね備えた、次世代のパッケージ素材です。


BOPE成膜(株式会社日本製鋼所)

まとめ

当社はBOPE技術を活用し、環境に配慮した次世代パッケージングソリューションを提案しています。この技術により、持続可能性と経済性の両立を目指し、社会や市場のニーズに応える製品開発を進めています。今後も、真の「次世代素材」の実現に向けて、挑戦を続けていきます。

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