ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE
日本ポリエチレンが提供するノンハロゲン難燃ポリエチレンは、ポリエチレンの優れた加工性と天然由来難燃剤の配合により、燃えにくさという安全性と、環境負荷低減を両立した材料です。
現代社会において、電気・電子機器の普及は著しく進んでおり、それに伴い火災リスクへの対策がますます重要視されています。特に、電線・ケーブルなどの被覆材料には、火災時の延焼防止に加え、有毒ガスの発生抑制や発煙量の低減といった高度な安全性が求められています。
従来の難燃材料にはハロゲン系難燃剤が広く使用されてきましたが、これらは燃焼時に有害ガスを発生させるという課題があり、人体や環境への影響が懸念されます。
さらに、焼却処分の際にはダイオキシンなどの有害物質が発生する可能性もあるため、環境規制の強化により使用が制限されつつあります。
こうした背景から、環境負荷を低減しつつ高い安全性を備えた「ノンハロゲン難燃材料」へのニーズが急速に高まっています。
日本ポリエチレンが開発したノンハロゲン難燃ポリエチレンは、ハロゲンを含まない難燃剤をポリエチレン系樹脂に均一に分散させることで、優れた難燃性と環境性能を両立した高機能素材です。難燃剤には水酸化マグネシウムを使用しており、これは鉱山からの採掘や海水からの合成で得られる天然由来の成分です。
本材料は、従来のハロゲン系難燃材料やポリ塩化ビニル(PVC)と同等レベルの難燃性能を持ちながら、燃焼時に有毒ガスを発生させず、発煙量も少ないという特長があります。
主に電線・ケーブルの被覆層として使用されており、火災時の延焼防止に加え、人体や設備への二次被害を抑える高い安全性を実現します。さらに、ポリエチレン系樹脂をベースとしているため、柔軟性や耐候性にも優れており、屋内外を問わず安定した性能を発揮します。
通常、水酸化マグネシウムのような無機フィラーをポリエチレン系樹脂に高濃度に配合すると、均一な分散が難しく、引張特性などの物性低下や、凝集による異物が発生する問題が生じます。
日本ポリエチレンでは、独自の樹脂設計技術とコンパウンド技術を組み合わせることで、水酸化マグネシウムを高濃度で配合しながらも均一に分散させることに成功しました。これにより、難燃性を確保しつつ、物性の低下を最小限に抑えることが可能となりました。
図1に、一般的なポリエチレンと同等の燃焼特性を持つエチレンーアクリル酸エチル共重合体(EEA)と難燃ポリエチレンの酸素指数の比較を示します。酸素指数とは、材料が燃焼を持続するためるに必要な最低酸素濃度を示す指標であり、値が低いほど燃えやすい材料であることを意味します。難燃ポリエチレンは、EEAと比較して酸素指数が大幅に向上しており、火災時の安全性が高まることが確認されています。
図1 EEAと難燃ポリエチレンの酸素指数の比較
本材料は、電力・通信ケーブルや自動車用ワイヤーハーネスなどの電装部品において、長年にわたり使用されてきました。さらに、建材、家電部品、産業用シートなどへの展開も可能です。
押出成形、射出成形、インフレーション成形など、さまざまな加工方法に対応したグレードを取り揃えており、薄膜から複雑形状の部品まで、幅広い設計に対応できます。
また、無色(白色)グレードに加え、赤・黄などの顔料による着色グレードにも実績があり、用途やデザインに応じた色調の選択が可能です。これにより、機能性だけでなく意匠性が求められる製品にも対応できます。
さらに、長年培った混練技術を活かし、顧客の要望に応じた材料設計や性能調整などのカスタマイズにも柔軟に対応可能です。難燃性、機械特性、加工性のバランスを最適化することで、高付加価値な製品開発を支援します。これにより、設計の自由度が高まり、さまざまな分野での応用が期待されます。
ノンハロゲン難燃ポリエチレンは、安全性・環境性・加工性を高い次元でバランスさせた、次世代型の難燃材料です。より詳しい内容やサンプル提供をご希望の方は、お問い合わせください。オンライン面談などを通じて、製品の特長や用途に応じた使用方法をご説明し、最適なグレードをご提案します。
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