ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE
従来のマテリアルリサイクルポリエチレンは、流動性や衝撃強さ、硬さなどの性能が適用したい製品にマッチしないこともあります。
それらの課題を解決するため、必要性能に合わせて性能を改良したマテリアルリサイクルポリエチレンの開発を進めています。
マテリアルリサイクルポリエチレン(MR-PE)は、使用済みのポリエチレン(PE)製品から回収し、再減量化して得られるリサイクルPE材料です。
PEはレジ袋や包装材、容器およびその蓋など幅広い製品に使用されており、それぞれに求められる性能が異なります。
異なる種類のPE製品を区別せずに回収・再原料化すると、MR-PEの性能にばらつきが生じます。
例えば、レジ袋に使用されるPEとペットボトルのキャップに使用されるPEでは、柔軟性や耐久性などの特性が大きく異なります。さらに、使用量や回収量も変動するため、回収のタイミングによって含まれる材料の比率が変わり、品質の安定性が損なわれる可能性があり、また特定の成形方法や製品への適用において課題が生じることがあります。
このため、日本ポリエチレンでは、要求性能に応じて最適な改質を施すための研究開発を行っています。
MR-PEの改質により、例えば以下の効果が得られます。
MR-PEの性能を向上させるには、適切な配合設計が重要です。
日本ポリエチレンは多様な用途向けの製品ラインナップと豊富な知見を活かし、用途ごとに最適な配合設計を行い、MR-PEを効果的に改質しています。
射出成形における改質検討例をご紹介します。
改質用のMR-PEはペットボトルキャップ回収品を原料としました。この原料のMFRは2 g/minと低く、射出成形をするためには流動性が不足しています。密度は0.96 g/cm³と高く、硬質成形品に適した材料です。
しかし、このままでは成形が困難であり、耐衝撃性にも課題がある可能性があります。そこで流動性と耐衝撃性向上を目的とした改質をそれぞれ行いました。
射出成形性の向上を目的に改質を実施し、MFRが23 g/10minで、密度が0.93 g/cm³の材料を開発しました。射出成形のしやすさの指標であるスパイラルフローを測定した結果、改質例AではMFRが20 g/10minのバージンPEを上回る成形性を示しました。これにより、元のMR-PEから流動性を大幅に向上させ、射出成形に適した高性能材料へと改質させることに成功しています。なお、MR-PE配合比率は30 wt%となっています。
図1 改質例A
耐衝撃性の向上を目的に改質を実施し、MFRが5 g/10minで、密度が0.94 g/cm³のブレンド材料を開発しました。類似のMFR・密度を持つバージンPEと比較して、同等の硬さを保ちながら、より高い衝撃強度を実現しています。これにより、MR-PEを衝撃に強い高性能材料へ改質させることができました。なお、MR-PE配合比率は50 wt%となっています。
図2 改質例B
このように配合設計を工夫することで、同じMR-PEを使用していても、異なる性能を持つ材料を作り出すことができます。用途や必要性能に応じて改質を行うことで、MR-PEを高機能材料へと改質させることが可能です。
日本ポリエチレンは、多様な成形分野における製品ラインナップと豊富な知見を活かし、最適な改質ソリューションを提供します。これによりMR-PEの活用を促進し、環境負荷低減に貢献していきます。
MR-PEの改質にご興味のある方は、ぜひお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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